寄宿舎

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寄宿舎ADLの指導
                         
ADL(Activity of Daily Living)は「日常生活動作」と訳されていますが、衣食住をはじめとする日常生活上のさまざまな基本的技能を高めてもらうことをねらいとしています。

よく似た略称にQOL(Quality Of Life)があり、「生活の質」と訳されています。QOLは「個人」的要因として心身に障害等を抱えていても、本人が望むように「環境」的要因を整えていけば「快適な生活」が可能になるとの考え方で、現在の障害者福祉の主流となるものです。

私たちは、軽度知的障害児のQOL向上のためにはADL指導が不可欠であると考えています。

本校生が社会人として就労し始めた時、意外な落とし穴にはまりこむことがあります。日常の所作では、掃除(掃きや拭き)が雑、トイレや洗面所の使い方が汚い、食事のとり方が見苦しい、ハンカチやハンドタオルを持たず服で手を拭く、個人ロッカーが整頓できないなどのことです。また、身体・服装では、整髪しない、フケが多く頭髪も臭う、口臭がする、食品を扱っているのに鼻をいじる、身だしなみがだらしない、清潔感に乏しいなどのこともあります。

コミュニケーション面では、不必要な私語が多い、同じことを何度も聞き直す、指示を理解した様子なのに作業は改善しない、注意しても聞き入れないなどのこともあります。……保護者の皆さんも私たち教職員も、こうしたことは小学校・中学校時代を通じて適切な技能や態度を身につけ、ほとんどは克服できているものと思いこんでいる節があります。しかし、生徒の実態にはところどころに落ち込みがみられ、自分の状態を客観的に評価できているともいえません。

『小さな苦情が重なって、本人は自分のすべてが否定されたように思いこみ、自尊感情を低下させていく。周囲との人間関係に悩み、出勤しにくい状態に追い込まれる。やがては、勤労意欲そのものを喪失してしまう。』……こういった悪循環は明らかに二次的不適応症状であり、適切な対処法や改善法がありさえすれば、彼らのQOLを低下させずにすむものと思われます。

一方で、軽度知的障害児者は、一見しただけでは気づきにくい認知面での問題を抱えていることがあります。聴力は正常なのにことばを「聴く力」が弱い、視力は正常なのに空間的な位置関係を「見る力」が弱い、身体感覚(ボディ・イメージ)がうまくつかめず自分の体なのに目に見えない背中などの状態が分からない、皮膚感覚が未発達で物の冷温や乾湿・触圧などが分かりにくい、目と手の協応がうまくいかず手先を器用に動かすことが難しいなど、細かく観察すればそれぞれの苦手さを感じとることができます。こうした苦手さには何らかの代替手段を講じるか、周囲の自然な配慮を考えるべきでしょう。

私たちは、舎生の皆さんに自律的で意欲的な生活態度を養ってもらうことをめざしています。日頃の寄宿舎生活では、統一的なADLを基本に指導しています。

もちろん、生活上の細かな方法には各家庭によってさまざまなバリエーションがあると考えられますから、寄宿舎での実践をご家庭にもお伝えし、両者が相まってお子様の「生活自立」をめざしていくための標準的な大枠とご理解いただければけっこうです。

項目
・身だしなみ   
・掃除(掃き掃除、拭き掃除)
・洗たく(洗う、干す、たたむ)  
・整理整頓
・健康管理    
・食事   
・入浴
・洗面   
・排泄
・学習    
・コミュニケーション



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